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本・心にナイフをしのばせて
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ノンフィクション作家・奥野修司さんの本です。
この本を読むと、いかに犯罪被害者の家族は理不尽で暴力的な被害を受けるかと言うことを、考えさせられます。
15歳未満の少年犯罪は、少年院に2~3年入り教育を受けると、退院するときはすべてがリセットされて何事もなく社会復帰できてしまうんですね。

この本は、1997年に神戸で起きたあの恐ろしい「酒鬼薔薇」事件に端を発しています。
著者は、偶然、28年前にも同じような事件があったことを知り、事件のその後を追いました。
加害者の人権と社会的更生に万全を期した現在の法律は、被害者にとってなんなのか、ということを感じさせられます。

高校1年に入学したばかりの息子さんを同級生に殺された両親と妹のその後は、ほんとうに痛ましい
かぎりの歳月です。
「時が癒す」と言う言葉がありますが、それは命があってのものなんですね。
被害者家族の時間は、そのときから一歩も進めることが出来ません。

それに引き換え、加害者は養子縁組をして苗字を替え、最高学府を出て弁護士になっていたんですね。一言の謝罪もなく、弁護士として社会復帰をしていた。
ほんとうの加害者の更生とは何かを、著者は静かな怒りで告発しています。

文芸春秋社刊 1571円+税
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【2009/05/12 10:53】 | 本の紹介 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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